2025-02-28

「この曲のドラムを聴け!」より

 

年末年始あたりから“ドラム聴き”を続けていたところに、レコード・コレクターズ2月号の特集で「この曲のドラムを聴け!ジャズ/フュージョン編」ときて、拾い聴きしておりました。

マックス・ローチや昨年末亡くなったロイ・ヘインズあたりから探っていくのも楽しいのですが、今回はフュージョン寄りをピックアップ。


まずはスティーヴ・ガッド。チック・コリアの「Night Spite」(アルバム:The Leprechaun)での演奏です。一瞬リターン・トゥ・フォーエヴァーに在籍していたことがあるとは知りませんでした。スティーリー・ダンの「Aja」は何回聴いたかわからないですが、その数倍スゴいスティーヴ・ガッドが叩きまくっています。粒立ち、正確さはまさに彼のもの。こりゃスゴい。


お次はラス・カンケル。The Sectionの「Doing The Meatball」(アルバム名もThe Section)。スネアの音、気持ちいい。サックスはマイケル・ブレッカー。“キャラメル・ママの雛形”とコメントにありましたが、たしかにあの頃の日本ロックのリズムの感じさせる演奏。


ラストにマイク・クラーク。ハービー・ハンコック「Actual Proof」(アルバム:Thrust)をピックアップ。実はここらへんのヘッドハンターズ期がお気に入りでよくかけていました。“ポール・ジャクソンとの鉄壁のリズム隊”であり、ファンクとジャズを両立させた現代ドラマーに通じる演奏です。1974年ですからなんと50年前ですって。それにしても凄まじくカッコイイ演奏です。

2025-02-21

Apple Cores / James Brandon Lewis

 

James Brandon Lewis(ジェームス・ブランドン・ルイス)はアメリカの作曲家、サックス奏者です。1983年生まれ、2014年に初作を出してから2025年の本作は12作目にあたります。チャド・テイラーDs、ジョシュ・ワーナーB&Gとのトリオで“ヒップホップやファンクのリズムやテクスチャーを取り入れた”ジャズ作品になっています。

前回のスティングの投稿にも書きましたが、ジャンルを超えたミクスチャー感の中に一本筋が通っているのがジャズの真骨頂だと思っていまして、スティングの場合はそれがロック。今回のジェームスはソニー・ロリンズに代表されるモダンジャズへのリスペクトを感じます。ほかの二人が醸す音空間の中で、実に骨のあるサックスがガツンと響いて気持ちいいです。

ファンクドラムとぶっといベースから始まる1.Apple Cores #1 のセッションのなんとカッコイイこと。サックスがラッパーしています。3.Five Spots to Caravan はオーネットやドン・チェリーへのオマージュとなっていて、部屋全体にサウンドが拡がります。7.Broken Shadows はエレクトロダンスミュージックを生楽器でジャズしたような面白い楽曲だなと思います。それぞれが短い曲ながら、“これぞ今のジャズサックス”を聴くことができるオススメ作品です。

2025-02-14

ジャズを聴くようになったのは

 

メタル好きのギター学生だった僕が「ジャズを聴くようになったきっかけは?」とジンジャーnote仲間の方に聞かれて答えたのは「スティングなんです」。ポリスは当時バンドでもカヴァーするくらい好きだったので、スティングのソロ・プロジェクトもリアルタイムで聴きました。

特に84年のバンド結成ドキュメンタリー映画「BRING ON THE NIGHT, A BAND IS BORN(邦題ブルー・タートルの夢)」(85年作)が好きで何度も繰り返し観ました(レーザーディスクで)。

大学2年生ですからバンド活動は実はハードロック&メタル真っ最中。演奏力に憧れを持っていた時期なので、上記映画のミュージシャンの卓越ぶりに、ジャズミュージシャンてのはスゴいもんだと感服していました。

フランスはパリ郊外のお城を借り切って、スティングの作曲風景、ケニー・カークランドのクラシックピアノ練習、オマー・ハキムとスティングの3拍子裏リズム、爆音でのセッション、食事円卓でのダリル・ジョーンズとブランフォード・マルサリスの「ニューヨーク〜」、「I Burn For You」のドラムソロ、スティング夫妻と出産など、まだ栄光を勝ち取っていない出来立てほやほやのバンドの不安も描いて、そうかこれがジャズかと思った次第。

ジャズというのは、ロックもソウルもアフリカ音楽もラテン音楽もすべて飲みこんで、緩急自在&表情豊かで、なにより自由で、演奏そのものも楽しめる音楽なんだと教えてもらったわけです。

参加メンバーのアルバムを辿っていったらすぐにマイルス・デイヴィスに着いて、マイルス行ったらもうそこからぶぁっといきますね。


2025-02-07

Dark Moon / Holly Cole

 

Holly Cole(ホリー・コール)はカナダのシンガー。スタジオアルバム2作目であの「コーリング・ユー」を1992年にヒットさせました。2025年13作目にあたる本作を携えて、3月にブルーノート東京に来日するそうです。ジャズのみならず、ポップスやカントリーのスタンダード曲をバックミュージシャンとともに彼女の声に合ったアレンジで聴かせてくれています。

あの「バグダッド・カフェ」の楽曲を歌う歌声のイメージがあったので、「こんな声だったっけ」と思いながら聴き始め、なんともスモーキーというか味わい深い歌唱にハマってしまいました。Qobuzの1月下旬のストリーミングランキングで再生数1位とのことで、2位幾田りら、3位米津玄師を上回る成績を記録していました。なんかちょっとうれしい。

「ティファニーで朝食を」の劇中歌3.Moon River を聴くとあの「コーリング・ユー」の歌声が蘇ります。彼女の声はなぜ映画楽曲に合うのでしょうか。ディオンヌ・ワーウィックの5.Message To Michael もしっとりいい曲です。バックもベテランらしい抑制が効いて効果的な演奏で素晴らしく、ギターの音がなんとも哀愁たっぷりです。ギターといえば、ラストを飾るペギー・リーの11.Johnny Guitar がなんとも印象的で沁みます。 曲が終わってからもしばらく浸ってしまいます。部屋じゅうに響かせるような音量で聴くとどっぷりです。