僕が80年代のヒット曲を聴いていたりすると、家族に「いかにも昔の音って感じ」と言われてしまいます。この頃の音楽制作では、デジタルによる機材の進歩が始まり、かなりの創意工夫で現場は苦労が多かったと思います。DTMソフトの操作性はもちろん、CPUもメモリもハードディスクも限界が低くてバグやクラッシュで大変だっただろうなと。それでもマイケル・ジャクソンやプリンスの音を聴くと時代を超えたチカラを感じる音を出していて、スゴいなと思います。
それが2010年代にもなるとデジタル技術は進化して、アメリカのアーティストを筆頭に革新的な音作りになっていきます。特にサウンドデザインといわれる音像や音場、倍音や位相、エコーの処理など細部にわたってコントロールできるようになって、キャンパスに絵を描くように音作りされています。オーディオ的にはイヤフォンやヘッドフォンで聴くリスナーが多くなって、耳の中に拡がる空間表現を楽しむようになったことも関係していると思います。
例えば、個人的な印象になりますが、ハイハットやアコギなどの高域成分は左右に思い切り振って、ベースのような中低域は真ん中よりちょっと下に厚めにノリよく。超低域から高域はシンセで広大な空間を意識させて。ヴォーカルやコーラスがひきたつように全体をバランス調整している。昔のようにライヴでの演奏位置に配置するだけではない印象です。
20年代の今はさらにDTMや音作りのソフト技術が進化して、ハイレゾでキャンパスが最大限に広くなり、空間オーディオによって音像をさらに細かく位置づけできるようになって、サウンドデザインは驚くほどクオリティの高い楽曲が増えていると思います。
リスナーのリスニング環境も多様化しているので、音楽制作の現場もいろいろやることが多くて大変だろうなと推測します。ソフトの進化やAIによる工数削減はあるものの、作詞や作曲だけでなく、サウンドデザインをどうするかについてもクリエイティビティが問われる時代になっていると思います。
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