2012年はエスペランサの作品と、このロバート・グラスパーの作品が発表された象徴的な年だと思います。奇しくもどちらのタイトルにも「Radio」の文字が。25年続いたCD時代が終わり楽曲をダウンロード購入する時代に。その後10年も経たずにサブスク・ストリーミングの時代がやってきますが。Robert Glasper Experiment名義で発表された本作もジャズという枠を軽々と超えて新時代の音楽を僕たちに見せてくれた傑作であると思います。
この作品が僕の深い共感を生んだのは、いままで聴いてきたジャズ、ソウルR&B、ファンク、レゲエ、ダブ、フュージョン、ロックといったあらゆるジャンルの要素を含んでいて、先人たちへのリスペクトも感じることができること。それを難しい顔して表現するのではなく、軽々と昇華して新しいサウンドを作りあげていることに「だから音楽って面白い」と思わせてくれたことでした。ジミ・ヘンドリックスがExperience名義で冒険的な音楽を作り上げたのと同じような雰囲気を感じます。
この作品も全て必聴の濃い作品です。敢えて3曲のオススメを選ぶとすれば、あのエリカ・バドゥを迎えた2.Afro Blue 、5.Gonna Be Alright (F.T.B.) 、ニルヴァーナの12.Smells Like Teen Spirit 。ドラムスにクリス・デイヴ、ベースにデリック・ホッジを迎えた最強布陣でのスゴい演奏と強靭な楽曲。10年以上経った今でも、新しい音楽はこの作品の影響下にあるのではないかと思うくらい必聴アルバムです。
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