今年3月に亡くなってしまった坂本龍一。まだ信じられない思いです。YMO世代ですし音楽はもちろん彼らの言動や行動にも影響を受けてきました。特に坂本さんは社会的活動もメディアに出ていましたから目に触れることが多かった。NHKのスコラ音楽の学校や3.11震災直後の彼の行動からは音楽への深い愛情が感じられて共感していました。震災後にiTunesで彼のピアノソロをダウンロードして心を鎮めていたのを思い出します。
2009年の本作は、自分の中にある音楽を表現したものとして私的な作品であると感じます。曲調はミニマルでありながら一音一音とても丁寧に厳選されたサウンドとなっていて、この作風は亡くなるまで続いたと思います。僕がフィールドレコーディングをするようになったのも坂本さんがiPhoneにマイクを挿して街を歩いていた映像を見てからで、音を集める行為自体に興味を覚えたのでした。
震災後によく聴いた曲となりますが、1.hibari のようにミニマルで音が少しずつずれていくような感覚が面白い。5.tama の高周波な音はちゃんとした再生装置で聴くとよりリアルに感じます。6.nostalgia では和音を置いていくシンプルな曲なのにいろいろな風景が浮かんできます。北極圏まで行ってフィールドレコーディングしてきた音を入れた10.glacier を聴いていると長く続く“時”を静かに感じることができます。
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