2023-09-29

Eternal / Branford Marsalis

 

Branford Marsalis(ブランフォード・マルサリス)は、アメリカのサックス奏者。スティングの名曲「Englishman in New York」でのサックスプレイが最も有名でしょう。スティングがソロになってバンドを組んだ際の映画がとても好きで何度も観ました。ブランフォードの“どんな批判にも慣れているぜ”なんて言いながら見せたやんちゃな笑顔が印象的です。いまや弟のウイントン(トランペット奏者)とともにジャズ界のレジェンド的存在です。

2004年の本作は全編にわたり何回も聴いたので、彼のサックスフレーズを覚えて鼻歌してしまうほどです。バラード集ということで、ゆったりしていて一音一音に感情が深く込められた沁み入る演奏をたっぷり聴くことができます。仕事に疲れた日の夜に静かにこの音楽に浸るなんてことも多かったなぁ。何回も聴いたということはそういう日が多かったってことかなんて。そんなこのアルバムに出会えたのも幸せなことです。

ウェイン・ショーターの1.The Ruby and the Pearl でゆったりした時間は始まります。このソプラノサックスの優しい音といったら...。エンディングも素敵です。2.Reika's Loss のフレーズ後の余韻が素晴らしい。3.Gloomy Sunday では大きく波打つリズムに深い感情を乗せてきます。6.Muldoon は優しく包んでくれる美しいピアノとのデュエット曲。7.Eternal は静かに微笑んでいるような明日への曲と思って聴いていました。


2023-09-28

グールド作品からAIを想う

 

画像生成やChatGPTなどAIとコンピュータの進化は止まりません。つい30年前はCG技術でプロって凄いと感じていたのに、もうパーソナルが最新技術を使う時代になりました。そして一部ではAIが作る音楽なんて話題もありまして、そこでふと思い出したことがあります。

グレン・グールドというクラシックピアノの演奏家がいます。バッハ:ゴルトベルク変奏曲の衝撃的とも言われた1955年の演奏録音があります。有名なのは1曲目のアリアですが今回は2曲めを。

そしてグールド没後25周年として発売された「Zenph Re-performance」という2007年の録音があります。生成AIに聞くと以下の説明が出てきました。

Zenph Re-Performance は、アメリカのコンピュータ・ソフト「Zenph」を使って、グールドのモノラル音源を徹底的に解析し、キータッチや音量、ペダルの踏み込み加減にいたるまで完全にデータ化したものです。このデータは、自動演奏ピアノ(ヤマハ製ディスクラヴィア/9フィート・フルコンサート・グランド)を用いて再現され、その再現音を録音しました。

1955年の録音はモノラルだったので、それをコンピュータで解析し自動演奏させてステレオ音源にしたというのです。

さらにこの自動演奏をバイノーラル録音と言って、あたかも弾いている本人の耳で聴いているかのように聴こえる特殊録音を施したものがあります。

驚くことに2007年録音でもグールドそのものが再現されていて、なおかつ高音質なんです。こんなことができちゃうんだと思いました。
さて、そこで再度最初の1955年の録音を聴きます。どう感じましたか。僕は音に力強さを感じ、まるでグールドの意思がグッと伝わってくるようで、モノラル録音であることがかえって奏功しているのではとさえ思いました。

そうかやっぱり本人による演奏録音のほうが良いんだ、音質が問題ではないんだと結論づけたいところですが、2007年録音も聴き続けていると、特にバイノーラル録音をヘッドフォンで聴いていると徐々に惹き込まれて、いつの間にかグールドの世界に浸っていました。

飛躍かもしれませんが、この自動演奏による再現を聴くことと、生成AIに感じることは似ているのかもしれません。本物ではないけど本物をコンピュータで精緻に再現。どちらが良いか悪いかというよりも、見分ける(聴き分ける)ことさえできるかどうか。僕としては少なくとも本物の良さを感じられる耳を持ちたいと願っています。

2023-09-27

Witness to History / Eddie Henderson

 

Eddie Henderson(エディ・ヘンダーソン)はアメリカのジャズトランペット奏者。御年82歳だそうで、このブログを書いていて「ミュージシャンは長生き」と思うようになりました。同い年のハービー・ハンコックとの共演も多く「V.S.O.P.」で彼の演奏を耳にしていました。

大好きSMOKE Sessionsからの2023年リリースでやはり高音質です。気になるドラマーはこれまたレジェンドのレニー・ホワイト。マイルスの「ビッチェズ・ブリュー」からリターン・トゥ・フォーエヴァーという凄い経歴です。バンド全体の演奏も百戦錬磨の風格で、これぞモダンジャズを最新録音で聴くことができます。

おっマイルスか!と思わせる曲は、レニーがあの頃のように淡々とリズムを刻む1.Scorpio Rising と極めつけの4.It Never Entered My Mind 。あぁ浸っていたいと思います。5.Freedom Jazz Dance は変わったリズムで難しい演奏なのに、ベテランの為せる技なんでしょうリラックスして聴くことができる曲でオススメです。


2023-09-26

Live at Murphy's Law / Jesse Van Ruller

 

Jesse Van Ruller(ジェシ・ヴァン・ルーラー)はオランダのジャズギタリスト。23歳でセロニアス・モンク・コンペティションのギターコンテストで優勝したり、あのパット・メセニーから最も優れた若手のひとりと言われたりしていますが、一聴すればその確かで突出した腕前はわかると思います。2004年の本作はオランダの広くないクラブ“Murphy's Law”で彼が初めて録ったライヴレコーディング。

僕が気に入ったのはまずその優れた音質。クラブの空気感まで伝わってくるような生々しさ。いい音のギターを聴きたいと思った時はこのCDに手が伸びていました。4K映像のように細部までフォーカスが合っていて、すぐそこでギターを弾いているよう。僕が小さめのハコに魅力を感じたのも、またそうしたジャズライヴの録音を好んで聴くようになったのも、このCDのおかげかもしれません。

いかにもジャズギターのお手本のような1.Isfahan のスイングで始まります。3.The End of a Love Affair のギターフレージングを聴いているとあまりに多彩でどうなっているのかわかりません。その分集中して聴きます。4.Detour Ahead はこのアルバムで好きな曲。本人も楽しんで弾いているのがわかる。ベニー・グッドマンの7.Goodbye でも彼独特の音色でじっくり聴かせる曲になっています。


2023-09-25

社長にだけはなりたくない!

 

「てやんでぇ!社長」も8ヶ月ほど書いてきました。20年程やってきた社長や経営者という仕事を振り返って、次代にどんな仕事に就くかわからない娘に向けて思いつくところを書いてみました。これを読んだらおそらく「社長なんてやりたくない」と言うでしょう。理由は大変そうだから。そりゃ、これだけいろんなこと考えなきゃならないし、やらなきゃいけないんだからそう言うのも無理はない。

社長になるとまあ批判が多いですよ。悪口、陰口、野次も。足も引っ張られるし、後ろから矢が飛んでくるし、揚げ足もとられる。結果が悪いと責任とって辞任したり減給したり、しなかったり...。開き直って「悪いのは自分じゃない」とばかり部下のせいにしたり、取引先のせいにしたり。不機嫌を周囲に撒き散らして、さらに悪口が増える。

できることなら社長にだけはなりたくない、せめてNo.2以下、いやいや平社員が一番。だって言われたことだけやってれば給料もらえるんだから。余計なことはしないほうがいい。なんとか仕事をやっつけて、たまにゃ時間外に仲間と会社や社長への愚痴でもいいながら食べたり飲んだり。こっちだって大変な仕事やってやるんだから愚痴ぐらい別にいいだろと。

選択の時代”ですから、どんな人生を歩もうとそりゃ人の勝手です。死ぬときゃみんな独り、あの世には何も持っていけません。死んだあと何を言われようと自分には何も聞こえません...。
でもまあ奇跡のような縁あって、父と娘なわけですから、娘が生きていく過程で自ら“選択”するときにちょっと参考になればと思い、あと数ヶ月書いてみます。

2023-09-22

Everything Must Go / Steely Dan

 

Steely Dan(スティーリー・ダン)のCDですが、我が家には「彩(エイジャ)」(1997年作)が5枚、「ガウチョ」(1980年作)が4枚あります(SACD含む)。リマスター違いでもあり、わずかですが音が違う。レコードプレーヤーを持っていたらこの倍は揃えていたはずです。音質も演奏も曲も最高クォリティだからこそ、最高の音を聴きたいという思いからです。

2003年の本作は実質ラスト・スタジオアルバムです。2017年にウォルター・ベッカーが亡くなりドナルド・フェイゲンだけになってしまいました。このアルバムももちろん最高クォリティです。ロックでありソウルでありジャズである唯一無二のサウンドです。僕はスピーカーやヘッドフォンをチェックするときには彼らの音源を用意します。このサウンドを気持ちよく鳴らすことができる機器であることが条件です。

たとえば1.The Last Mall の細かく刻むハイハット、薄くドライブかけたギター、絶妙に絡んでくるホーンセクション、終わり方にシャレが効いています。歯切れのよいリズムの2.Things I Miss the Most はキャッチーでありながら独特のハーモニーとコード進行、ポップで覚えやすい3.Blues Beach のスネアの乾いた音、変わった音色の装飾などなど、このあともずっと丁寧に作り込まれた、そこにあるべくしてそれしかない厳選されたサウンドとアレンジを聴くことができます。

2023-09-21

原始的に衝撃を受けた曲

 

これまで音楽を聴いてきて「衝撃!」と言える音や曲が誰にでもあると思います。それこそ説明書きなしに聴いて「なんじゃこりゃぁ」となった音源です。僕にとってその曲とは、中3か高1のときにFMラジオで聴いたヴァン・ヘイレンの1stに入っている「Eruption」です。

中古のエレキギターを手に入れてリッチー・ブラックモア最高!と弾き始めた頃、この世のものとは思えないギターを聴いてしまいました。エディことエドワード・ヴァン・ヘイレンが爆撃のように始めて、ぶっ飛んだソロをこれでもかと展開する短いインスト曲です。邦題は「暗闇の爆撃」とあってそのとおりだと思いました。

まともな言葉では説明できない。すげーな、どーなってんのこれ、うぉーっ!っていう感想しか出てこなかった。とても原始的な感動です。こうなるともう説明不要、音質関係なし。爆音で部屋を耳を満たすことで何度でも衝撃!です。こんなギターを弾けるようになってみたい、こんなサウンドを出してみたい、と僕のエレキギター熱は急上昇したのは間違いありません。

あとで知ったことですが、世界中のギタリストが衝撃を受けていました。そりゃそうだ。そして多くのスーパーギタリストがこうしたギターのみの曲を発表していますが、このエディのプレイを超えるものは無いと僕は思っています。

2023-09-20

The Return / Joel Haynes, Seamus Blake & Neil Swainson

 

Joel Haynes(ジョエル・ヘインズ)はカナダ・トロントで活動しているドラマー。15年ぶり3rdアルバムの2023年作とのことでベテランらしい演奏を聴かせてくれています。同じくカナダのサックスプレーヤー、シーマス・ブレイクを加えたカルテット作品です。前回に続いてピアノトリオ+ワンホーンとなります。

ジャズはドラムスから聴くことを書きましたが、このアルバムもドラマーがリーダーということで、非常に小気味よい、心地よい音のドラムスで気に入りました。シンバルでリズムをとって、スネアやタムはフィルイン(盛り上げ役)なことがよくわかります。スネアとバスドラでリズムをとるロックとは対称的ですね。ドラムスの音量もロックほど大きくないので、ピアノやウッドベースの音との掛け合いも楽しめます。

タイトル曲1.The Return からアップテンポで軽快です。こういう曲で仕事を始めると捗ります。4.Tomorrow Never Knows はビートルズのカヴァー。歌心を感じるシーマスのサックスにひと息リラックスできます。ラスト8.Payback ではまたアップテンポに戻ってスリリングなアンサンブルが楽しめます。ジョエルのドラムスがグイグイ引っ張って炸裂しています。


2023-09-19

Sacred Love / Sting

 

Sting(スティング)は、The Police時代からそりゃもうほんとによく聴きました。大好きな曲も多く作曲家としてもベースプレイヤーとしても素晴らしいミュージシャンだと尊敬しています。2003年の本作はアメリカ同時多発テロ事件を受けて作られたもので「愛」というテーマについて深掘りした作品になっています。発売後のライヴも観に行きましたが、最高にカッコいいステージでした。

彼によって僕の聴く音楽範囲が大きく拡がったわけですが、今回もフラメンコギタリストのビセンテ・アミーゴを知ったり、シタール奏者のアヌーシュカ・シャンカルとの共演や好きなソウルシンガー、メアリー・J. ブライジとデュエットしたりと魅力的なコラボレーションにワクワクしました。僕の持っているSACDには大好きな曲「ムーン・オーヴァー・バーボン・ストリート」をコーネリアスがリメイクしたナンバーが入っています。

何回聴いたかわからないフェイバリット曲の2.Send Your Love ですが、ビセンテ・アミーゴのギターがとにかくカッコいい。続く3.Whenever I Say Your Name は見事にメアリーらしさと融合していてメロディアス。スティング流ドラムンベースな5.Never Coming Home はブリング・オン・ザ・ナイトを想わせるし、6.Stolen Car (Take Me Dancing) はシェイプ・オブ・マイ・ハートを想わせる曲ですがいい曲はいいんです。


2023-09-15

TOWA TEI / Sweet Robots Against The Machine

 

Sweet Robots Against The Machine(スウィート ロボッツ アゲインスト ザ マシーン)はテイ・トウワの変名プロジェクト。本作は2002年の自身の名前をタイトルにした同名義2ndアルバム。砂原良徳、細野晴臣などが参加しています。テイ・トウワの作品はリミックスを含めて全部買っていたのでこのアルバムも発売とともに入手しました。

機材いじりを楽しんでいた時期と重なって、1音1音にこだわりを感じる彼の音楽をリスペクトしていました。このアルバムの音が、いかにもあの軽井沢のスタジオから生まれた音らしくて憧れながらヘヴィロテしたのでした。スタジオのミキサー卓の上に置かれたニアフィールド(近距離)スピーカーで聴くのが似合うサウンドだと勝手に思っています。

ドラム音のテストのような1.AUDIO SEX に始まり、今ちょっと流行っているらしい倍速再生を20年以上前にすでにやっている天才ぶりの2.FREE 、ソニーの愛犬ロボットが一緒に踊る(らしい)5.LATTE&MACARON なんていう新しいアイデアも。細野さんにしかできないベースラインの6.TIKUS 、砂原さんらしいリズムとエコーの10.I.Q.INFINITY もオススメ。何回聴いても今聴いてもまったく飽きることのないサウンドが詰まっています。


2023-09-14

ジャズはドラムスを聴いちゃう

 

Amazon Prime Videoで「ウェイン・ショーター:無重力の世界」を観ました。3つのパートでしたが、3番めが面白かったです。ウェイン・ショーターは3月に“未知の世界”に旅立ってしまいました。僕はマイルス・デイヴィスと一緒にやっていたアルバムはもちろん、彼のリーダー作のほとんどをCDで持っているくらい彼の創り出す音楽が好きです。ハービー・ハンコック、ロン・カーター、ジャック・ディジョネットと4人で来日した公演を観ることができたのはいい思い出です。

映画の中でウェインが、JAZZは昔“JASS”と綴っていて、シンバルを叩く音から来ているというようなことを言っています。たしかにいわゆる昔のジャズはシンバルの「ヂーヂキッ、ヂーヂキッ」とか「ジャッ、ジャ~ン」というリズムがバンド全体を引っ張っているようなイメージがあります。そんなウェインも最初はドラマーのアート・ブレイキーのグループで鍛えられて成長しました。

僕はといえば、ジャズを聴くときはついドラムスを聴いてしまいます。この曲カッコいいと思うときは、ドラムスが凄いリズムと好きなサウンドで鳴っていることが多い。ウェインと共演したトニー・ウィリアムスブライアン・ブレイドのドラムスを聴くと「うぉーっ!」ってなります。そしてそのプレイを聴きたくてまたCDをかけるのです。

2023-09-13

Funeral Dance / Helge Lien Trio & Tore Brunborg

 

Helge Lien(ヘルゲ・リエン)はノルウェーのジャズピアニスト。2023年本作は彼のトリオと同じくノルウェーのテナーサックスプレーヤーTore Brunborg(トーレ・ブルンボルグ)とカルテットを組んでの作品。ヘルゲ・リエンの先生でもあるウクライナのピアニストの死を悼んで鎮魂歌曲集となっているそうです。

ヘルゲ・リエンは「To The Little Radio」という2006年作を持っていますが、とにかく音質が良くて、とりわけピアノの音が美しい。オーディオ&ジャズ好きな人たちから人気のアルバムです。彼の美意識と叙情的な表現は、北欧のピアニストというイメージにもぴったりな印象です。今回サックスが入ることで色彩が豊かになり、より感情に響く作品だと思います。

織りなすようなメロディで始まる1.Adam のピアノ&サックスサウンドに浸って景色が変わります。タイトル曲4.Funeral Dance は戦乱の地で一筋の光を見るかのよう。5.Kaldanuten は異色のドラムスの重いリズムが鳴り続けますが、途中から入ってくるヘルゲのピアノがなんともドラマチックな曲です。秋を迎えこれからの季節にぴったりのアルバムになっています。


2023-09-12

NEXT WAVE / MONDO GROSSO

 

大沢伸一率いる、MONDO GROSSO(モンド・グロッソ)の2003年5作目にあたる。2000年に全日空のキャンペーンソング「Life feat. bird」が大ヒットして一躍有名になりました。ダンスミュージックのサウンドクリエイターとしてもDJとしても世界に通用する音作りで、YMO以降の洋楽邦楽関係ないミュージシャンがこうして出てくることは率直に嬉しい思いでした。

もともとKyoto Jazz Massiveというジャズとクラブミュージックを融合させたユニットからの派生バンドとしてスタートした彼ら。僕もそうしたコンピレーションアルバムは好んで聴いていたので名前は知っていました。このアルバムではそれに加えて、ハウスやテクノなどの要素を強調させたカッコいいサウンドを作り上げて、最もポジティブで輝く存在であったと思います。

フラメンコハウスな1.BLAZE IT UP で勢いよくオープニング。王道ハウスな5.Everything Needs Love [feat. BoA]はヒットしてラジオなんかでよくかかっていました。あのビースティ・ボーイズの曲へのオマージュソング7.FIGHT FOR YOUR RIGHT もディストーションギターでノリノリです。極めつけはUAがヴォーカルの14.光 で、あまりにもカッコいい曲で鳥肌モノです。ぜひ大音量で聴いてほしい!


2023-09-11

わかっちゃいるけど「5W2H」

 

遅刻もブッキングも、社会人一年生じゃぁないんだから言われなくても、と。でも出来ていない人が多いんです。最後にもう一つ。報連相なんて昭和語がありましたが、社長であれば報告を聞くこともありますし、仕事を依頼することもあります。せめて「5W2H」くらいは文字にしておきたいところです。

これも出来ていない人多いです...。「◯◯やっておいて。」なんて曖昧な指示。報告するほうも「だいたい出来てます」なんて報告。に対して社長は「何が?」といった会話。互いに文字にしていないからミーティングも長引くし、感情的になる。「だから言っただろ」って。そんでもって提案書や稟議書って何書けばいいんですか?なんて聞かれることもあります。そんなときはまず「5W2H」を押さえておけば具体的なことは伝わります。

When(期限、時期、期間)Where(現場、訪問先)Who(担当者や責任者、メンバー)What(仕事内容や依頼内容)Why(仕事の理由や目的、意義)How(方法や手段)How much(コスト、売上、損失)※“5W2Hを意識した具体性のある行動”から引用。

社長になると進めなければいけない仕事は複数にわたります。社長からはWhyとWhatだけ伝えてあとはスタッフが検討してくれ、なんて場合が多いでしょう。任せて安心な部下がいるとすれば、そのスタッフは「5W2H」をしっかり押さえています。もし「5W2H」を伝え合わずに仕事が進んでいるとしたら、社長自身だけでなくスタッフにも相当ストレスがかかっている場合もあるので気をつけたい。

2023-09-08

A Hundred Days Off / Underworld

 

Underworld(アンダーワールド)はイギリスのエレクトロニック・ミュージック・グループ。ケミカル・ブラザーズと並んでよく聴きました。1996年の映画「トレインスポッティング」で使われた「Born Slippy」がヒットしてラジオでよくかかっていました。2002年発表の4作目にあたる本作の翌年のフジロックに出演し、ケミカル同様にグリーンステージで大いに盛り上がりました。途切れなく繰り出されるビートで陶酔感に包まれました。

アンダーワールド、ケミカル・ブラザーズ、プロディジー、オービタルをして「テクノ四天王」と言われていました。オービタル以外はライヴも経験しました。彼らの音楽が主にデスクトップでエレクトロニックで生み出されたものでありながら、大観衆を乱舞させるライヴにこそ醍醐味があると思いました。2000年代がそういう時代だったのかもしれません。

アンダーワールドの特徴はなんといってもサウンドが気持ちいいこと。1.Mo Move のベースラインはあの名曲ドナ・サマー「アイ・フィール・ラヴ」を想わせますが、そこに乗せる彼らの宇宙的サウンドがカッコいい。ヒットした2.Two Months Off はそのライヴの乱舞を想像しながら聴くとこの曲の魅力が伝わるかと思います。YMOを想わせる5.Little Speaker はライヴというより部屋をサウンドで満たしたいような曲であったりします。


2023-09-07

「説明書き」vs「音楽を聴く」

 

美術館に行って絵画なんぞを観るとします。絵を3秒くらい眺めて「これ誰が描いたの?」「題名は?」「いつ頃のもの?」なんていう風につい説明書きのほうに目が行ってしまいます。もう1回絵に目を戻して5秒くらいで次へ。もしかして説明書きを読んでいる時間のほうが長い、なんてことありませんか?

むりやり音楽に置き換えてみます。ミュージシャンや発売年、オビとかライナーノーツ、ネットで検索してプロデューサーとかバックのミュージシャンを調べたり。音楽を聴いている時間よりも「説明書き」を読んでいる時間のほうが長くないか?なんてこと僕はあります。ああこの人が関わっているから音がいいんだなとか、世間の評価が高いから良いに違いないなんてことも。

ちょっと反省。ボニー・レイットを聴かなかったのも僕の「説明書き」に出てこなかったからかも。昭和の時代は雑誌やCDショップから情報を得ることが多かったし、それが楽しかった。でも興味ある記事しか読んでいなかった。結局「説明書き」から入って音楽に接することが多かったように思います。

この歳になってやっとゆっくり音楽を聴く時間ができたことだし「音」から聴くようにしています。ミュージシャンを知っていても知っていなくても、まずはその曲を目を閉じて聴いてみる。気に入ったらアルバムを通して聴いてみる。何を感じるか、何を思い描くかは自由ですから。ネット検索はそのあとです。

2023-09-06

Dolce Vita / 山中千尋

 

ジャズピアニストの山中千尋(やまなかちひろ)さんの作品は澤野工房の頃から聴いています。2023年8月30日発売の本作は、今年3月に逝去したウェイン・ショーターに捧げるアルバムということで「Yes Or No」「Beauty And the Beast」「Footprints」を彼女のアレンジで聴くことができます。同じく3月に逝去した坂本龍一関連の曲も最後に2曲入っています。ニューヨーク録音という空気もアルバム全般に感じることができます。

ウェイン・ショーターと山中千尋さんの共通点があると思います。演奏の思い切りのよさと複雑性と時々茶目っ気。そして他のミュージシャンにはない個性的な音使いが「ついまた聴きたくなる」そんなところです。さらにいえば山中さんの演奏を聴いていると不思議と元気になってくる効能があるんです。

今回描き下ろし曲の1.Dolce Vita や2.To S. がその不思議と元気が出てくる曲です。大人なフレージングと奇抜とも思えるアレンジが同居していて楽しい。3.Stranger はなんと久保田早紀さんの「異邦人」ですよ。僕もこの曲好きでした。このあとずっとショーター&千尋ワールドに浸って聴いていたら、覚えのあるイントロが!そうです、13.Kimi Ni Mune Kyun です。うれしくなっちゃいますね。


2023-09-05

Come With Us / The Chemical Brothers

 

The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)はイギリスの2人組ユニット。ロックとダンスミュージックをミックスさせた先駆者としてデビュー時から話題でした。本作は2002年発表の4作目で、車にヘッドフォンに日頃からよく聴いていました。同アルバムを引っ提げて出演したフジロックのグリーンステージで踊り狂った覚えがあります。

ロックは生身の人間がバンドで演奏するもんだという思いがありますから、これをロックといわれましてもと最初は思っていたのですが、サウンドを聴くうちにこりゃカッコいいとハマるようになりました。ここらへんYMOを聴いていたことが影響していると個人的には思っています。最近のロックバンドを聴くとケミカル以降の音楽を通ってきたんだなと感じます。

ライヴでも1.Come With Us から始まっていきなり最高潮でした。イントロがもっと長くて今か今かとなったあとでした。耳をついて離れない2.It Began In Afrika でもノリノリは続きます。カ、カ、カ、…と。4.Star Guitar もシングルヒットしたキャッチーなテクノでオススメ。風変わりな6.My Elastic Eye は彼ららしいユーモアを感じて耳に残る曲です。


2023-09-04

ダブルブッキングは(冷や汗)

 

社長ってのはなんといっても「行動力」です。自ずと人と会う仕事が多く、そのためにアポイントをとることになります。大事なミーティングも多いので、ダブルブッキングや日程間違いはなんとしても避けたい。間違えてしまったときの冷や汗は誰でも経験したことがあると思いますがあれは本当に嫌なもんです。

予定を伝え合うとき、必ず「曜日」を入れるようにしています。口頭で確認するときもカレンダーを開いて「◯曜日ですね」と言いますし、メールでも◯月◯日◯曜と確認を入れておくようにします。相手が別の月のカレンダーを開いていたりする可能性もありますし、互いに間違いの無いようにしたいものです。

時刻も24時間表記で確認し合うようにしています。午後5時をなぜか15時と間違えてしまったことがあります。相手が5時待ち合わせと言ってきたら「17時ですね」と確認しておくとよいと思います。

ついでにもう一つ。アポをとるときに「2つ3つ候補をいただけますか?」と尋ねる人がいますが、回答したら「その日はあいにく…」なんて返事されたことがあります。会うということを実現したければ、こちらから候補を挙げるべきです。「日にちと曜日と24時間表記」を複数挙げて、相手が選びやすくする配慮が大切です。

2023-09-01

Reanimation / Linkin Park

 

社会人になってもオリジナル曲を作ってバンドをやりたいという思いはありました。友達と楽器屋めぐりして、シーケンサーやマルチトラックレコーダーほかいろいろな機材を買い込んで宅録を楽しんでいました。結局仕事で忙しくてそれどころではなくなってしまいましたが。やりたいと思っていたのは、ヘヴィメタルとヒップホップをミックスしたようなサウンドだったのですが、それを実現しているのがLinkin Park(リンキン・パーク)でした。

2002年発表の本作は、前年大ヒットした1st「Hybrid Theory」のリミックスアルバムで、ヒップホップ色が濃くなってさらにカッコいいサウンドになっていました。ライヴを観に行ったら周りは自分たちよりも若いオーディエンスばかりで苦笑しましたが、オジサン世代の音楽ばかり聴いていては仕事にならんと自分を納得させていました。

彼らは特徴のひとつ“ストリングス”の使い方が上手いんです。1.Opening のように映画が始まるような曲から2.Pts.Of.Athrty への流れがなんともカッコいい。そのメソッドは6.P5hng Me A*wy にも。チェスターのシャウトが懐かしい11.Wth>You もヘヴィでいかした曲です。