2026-01-02

その音源、「海苔波形」につき?

 

新年早々ニッチな話で恐縮ですが、一部のオーディオファンの間で「海苔波形」が話題になっています。話題の原因はTOP WING社が「Sonic Corrector(信号補正フィルター)」というまだ発売にもなっていない製品をYouTubeなどで発表&動画配信したことにあります。

「海苔波形(のりはけい)」とは、音楽制作(DTM)などの分野において、音圧を極限まで上げた結果、波形の上下が真っ平らに潰れて長方形に見える状態を指す俗称(Geminiより)

ということで、90年代の昔から「音圧戦争」とか言われて音質に関心のある人にはあぁハイハイな話題です。

人は少し音量が大きいだけで「音がいいかも...」と思ってしまうところがあって、昔のラジカセ時代に端を発し、イヤフォンでも迫力のある音を聴かせるためにそういう音作りをします。もちろん程度は明らかなものからなんとなくなものまで、いろいろあります。

個人的な体験としても、90年代以降のよく聴いてきたハードロックやダンスミュージックのほとんどがコレでして、特にリマスターと称して再発されたものは“盛ってる”印象です。今でもポップスのほとんどはそうですし、ジャズの楽曲の中にもあります。

聴き手にとっては、ライヴに行っても大きな会場は低音モリモリですし、クラブは体全体で浴びるような音が魅力なわけで、音楽を聴くことはそれらの追体験であったりします。

なにより作り手にとって音楽がビジネス重視、マーケティング重視になった80年代以降、ミュージシャンの意向は別にして、一聴していいかもと思わせることで、CDがどれだけ売れるかを競うようになったことが影響しているというわけです。

「海苔波形」の音源が問題なのは、すべての音が大きくて、微細な音との差がなくなり、極端な場合は全体がのっぺりとした印象になってしまうこと。結果的にどの曲も似たような印象になり、時にはうるさいと感じてしまうというデメリットです。

「最近の曲はどうも聴く気になれない」とか「なんか聴き疲れする」といった印象を与える一因にもなっていて、特にオーディオファンにとっては顕著なようで「ミュージシャンも曲も好きなのに、聴く気になれない」という弊害?も生まれているようです。

このデメリットを独自の技術(製品のリンク先で説明)で補正しようというのが上記の信号補正フィルターだそうで、「海苔波形」の音源がメリハリのある、もともとの音がはっきりとわかるようになるとのこと。実際に聴いてみないとわからないですが。

で、僕自身は「海苔波形」の音源を聴かないわけではなく、「そういうもんだ」と思って聴いています。左右のスピーカーの前に座ってじっくり聴くのではなく、体を揺らして、場合によっては立ち上がって、ギターなんか持っちゃったらもうおかまいなしです。きっと娘にこの手の話をしたら「それが何か?」と一蹴されてしまいそうです。

ところで2025年にはTOP WING社の製品をいくつか導入しました。サブスク配信の音を良くしようとネットワーク関連に絞って買っています。2026年も基本的なものはいくつか導入するかな。おかげでYouTubeを見たら同社の菅沼社長が出てくる動画ばかりになりました。30代前半なんて年齢は関係なく、ITもビジネスも経験値多く、すべてを音楽とオーディオに注ぎ込んでいる彼の姿勢は頼もしくさえあります。買う買わないはともかく新製品は毎回楽しみにしています。

2025-12-26

Motion Ⅱ / Out Of/Into

 

ブルーノート若手精鋭集団であるOut Of/Into の第二弾。第一弾は今年の始めに書いた「Motion I」です。アメリカのジャズミュージシャン、イマニュエル・ウィルキンスAs、ジョエル・ロスVib、ジェラルド・クレイトンP、マット・ブリューワーB、ケンドリック・スコットDsからなるグループです。

ポスト・バップと呼ばれる60年代半ばのボビー・ハッチャーソン、アンドリュー・ヒル、ジョー・ヘンダーソンといったミュージシャンを想わせるちょい難解な展開の曲ですが、これぞジャズとも言える“お決まりでない”演奏の連続。日本を含めた世界中の若手ジャズミュージシャンが「うんうん」と頷きながら聴いている様子が想像できます。

1.Brothers In Arms から変拍子の応酬とソロ回し。意表を突く曲展開。なかなかにスリリングです。3.Juno はベースソロで始まり、どうくるかと思ったらバラード。リズムがあるようでないような流れ。5.The Catalyst は僕の好きなケンドリック・スコットの曲。イントロで刻むリムショットからだんだんヒップホップのようなリズムになるのが面白い。さすが精鋭の演奏で耳を占有するのだけど、全体的にはなぜか落ち着いた雰囲気を感じる不思議なアルバムです。


2025-12-19

42年ぶりの再会

 

うれしい再会がありました。高校時代の同級生Sくんと42年ぶりの再会です。高校を卒業して以来、電話もメールもかわしたことがなかったので記憶はあの頃のまま。Facebookで僕を見つけて彼から連絡してくれました。

高校時代は男子校で、しかも3年間クラス替え無し。だから今でもクラスメートの名前を覚えているくらいです。大学で一緒になったメンツとはいまでもたまに連絡し合っていますが、別の道に進んだ同級生とは同窓会もなくずっと会わずに還暦を迎えてしまいました。

Sくんはクイーンのファンで、もうひとりの同級生とともに彼の家に遊びに行っては、ずっとクイーンを聴く会をやっていました。エレキギターも持ち込んで曲に合わせて弾いたり。そのとき彼はヴァイオリンでクイーンの曲を弾くのです。フレディのメロディラインもブライアンのソロも。そして彼のお母さんが餃子をしこたま焼いてくれて、そのまま餃子パーティになるのが恒例でした。音楽好きとして忘れられない良い思い出です。

大学卒業後Sくんはしばらくしてプロのヴァイオリニストになっていました。今回もウイーンからの帰国を待って会いました。喫茶店で長いこと話をしました。見た目こそヴァイオリンの先生という感じですが、笑顔はあの頃の印象と変わっていないのです。畑は違うけれど、お互い音楽に携わる仕事をやってきたので、ビジネスの話も少し。

彼の音源を聴いたら、クイーンを弾いていた頃の音色を思い出しました。情感あって明るくて優しい音色。気持ちがこちらに伝わってくる演奏でした。Sくんは指揮者も演るとのことで、僕の浅いクラシック音盤知識から質問コーナーに。いい先生が見つかりました。これからいろいろクラシックのこと教えてもらおうっと。

2025-12-12

Songbook / Kenny Barron

 

アメリカのジャズピアニスト、Kenny Barron(ケニー・バロン)の作品は長いことファンで聴き続けています。2025年新作では現代最高のヴォーカリストを集めて、まるで彼の集大成のような演奏とアンサンブルを聴かせてくれています。リズムセクションはお馴染み北川潔B、ジョナサン・ブレイクDsです。

女性ヴォーカルで僕も現在最高と思っているセシル・マクロリン・サルヴァント、男性ヴォーカルでも最高と思うカート・エリングが参加しているだけでもケニーの影響力を感じます。かといってヴォーカル中心のアルバムかというとそこはケニー作品、ベースもドラムスもピアノもヴォーカルとイコールバランスで、それぞれ特徴の押しも引きも感じられる作品になっているというわけです。

1.Beyond This Place のジーン・ベイラーの歌声からぐっと来ちゃいました。聴き惚れとはこのことです。ケニーお得意ラテンリズムの4.Thoughts and Dreams でセシル登場!と少し歌ったらすぐにケニーのソロ。セシルのアドリブのあともジョナサンらしいドラミングで締めるという贅沢ぶり。セシルをもっと味わうなら8.Sunshower で。7.In The Slow Lane ではカートがじっくりと絡んで聴かせてくれます。静かなクリスマスの夜にもぴったりですし、今後また何回も聴き続けるであろう作品を届けてくれました。


2025-12-05

パワーアンプのボリューム位置

 

先週のことですが、御茶ノ水のオーディオユニオンにてBJ Electric社製品の説明会に行ってきました。昨年も同時期に行っていました。今回も総販売元であるBEAT&VOICEの堀部さんによるトーク&試聴イベント。そしてなんとBJ Electric石河社長もゲスト参加とのことで再会を楽しみに参加しました。

我が家ではオーディオ系のケーブル(USBケーブルやスピーカーケーブルも)はすべてBJ Electric製です。昨年のブログにも書きましたが、余計な味付けのないまっすぐな音。オーディオ界隈にしてはとてもリーズナブルな価格で購入できて、これなら小遣いで少しずつ買い足すことができるってもんです。

今回は、ミニプリアンプミニパワーアンプの紹介。ミニって言いましても僕にとってはスーパー音質で、ギャップ感強し。スピーカーをしっかりガッツリ鳴らしてくれるアンプです。プリアンプ有り無しで聴き比べしたら、プリアンプによって楽曲の“彫りを深く”してくれるような印象。「背景が見えるようになった」と参加者の声もありました。

我が家ではこのパワーアンプも長いこと気に入って稼働していて、TEAC UD-505(DAC兼ヘッドフォンアンプ)をプリアンプにしています。そしてパワーアンプにもアッテネーターという音量コントロールがついています。今回のイベントで石河社長に「目盛りをだいたい13時の位置」に合わせるとよいと聞きまして、家に帰って設定を変えてみました。

今までなんとなく10時くらいにしていたのを、(プリアンプを絞って)パワーアンプを上げてみたらなんと以前より悠々と鳴るようになりました。どのパワーアンプにもあてはまるものではないと思いますが、少なくとも今回は生みの親がおっしゃっているので説得力ありました。たったこれだけのことで音の印象が変わるのがオーディオなんですなぁ。

2025-11-28

Memories of Home / John Scofield & Dave Holland

 

John Scofield(ジョン・スコフィールド、略してジョンスコ):アメリカのジャズギタリストとDave Holland(デイヴ・ホランド):イギリスのジャズベーシストのデュエット2025年新作です。時期は違いますがともにマイルス・デイヴィスのグループ在籍経験者でもあり、ジャズ聴きで知らぬ人はいないでしょう。

1.Icons at the Fair でちょっとエスニックなイントロのあと、「え?」と一瞬パット・メセニーの「Question and Answer」かと想わせたり。あの曲はホランドとのアルバムですしムフフ... 。ギターとベースのデュエットで言えばメセニーとチャーリー・ヘイデンの「Beyond The Missouri Sky(ミズーリの空高く)」が有名でしてそりゃもう愛聴盤です。で、こちらのジョンスコ&ホランド組もいかにも彼らの演奏で、素晴らしい味わいのアルバムに仕上がっています。

このところとにかくジョンスコさんのギターを聴くことが多くて、フュージョン期、ファンキー期をはじめ2023年作でもとても好きなサウンドを聴かせてくれました。3.Mine Are Blues のユニゾンからなだれ込むスイングの気持ちよいこと。ギターの音色はもちろんホランドのベースの音がたまらなくイイ。ベース音ついでに6.Not for Nothin’ なんて鳴ってないドラムスの音が聴こえてきそう。9.Memories of Home はインストなのに歌モノの曲のように和みます。じっくりとギター&ベースの音に浸っていただきたいアルバムです。


2025-11-21

Qobuz Japan 1周年

 

フランス発のQobuz(コバズ)が日本でのサービスを開始してから1年が経ったとのこと。Xに投稿すると抽選で賞品が当たるという1周年記念キャンペーンにも応募してみたりしています。

サブスク音楽配信は何を契約しているかを聞くと、やはりAppleMusic、Spotifyが多くて、たまにYouTube、AmazonMusicで、Qobuzの名前はあまり聞きません。もちろんオーディオ界隈の方々は使用している方が多くなりますが。

僕自身もアップルの一連のサブスクサービスは家族モードで加入し共有していますから、AppleMusicも併用しています。歌詞が表示されたり(最近は和訳も)、プレイリストが良かったりという利点もあります。ドルビーアトモスによる空間オーディオが聴けるのも魅力。そして「サブスクにはない楽曲なので、手持ちのCD(リッピングデータ)をアップロードしてライブラリに追加」できるのもありがたい機能です。

でも家のスピーカーで鳴らすとき、またはヘッドフォンでじっくり聴くときはずっとQobuzです。理由は「音質」です。AppleMusicも音質が悪いわけではないのです。が、“味付け”を感じてしまうことがあります。その点、Qobuzは登録された楽曲データそのままという感じ。シャッフル再生などで音量を揃える機能もありません。作り手の意図のままに感じたいという思いでQobuzを聴いています。

たま〜に、ほかのサブスクにあってQobuzにはない曲があります。「なぜこれがない...」とぼやきながらCDをかけたりすることもあります。リクエストもできますが、ね。

1年使ってみて、使い勝手も改善されてきていますし、楽曲との出会いもちゃんとありますし、Qobuz Connectでスマホでリモコンできて快適ですし...。次の1年も使い続けることにします。