ハイレゾストリーミングサービス「Qobuz(コバズ)」が10月下旬にやっとスタートしました。Apple MusicやAmazon Music Unlimited、ハイレゾはないがSpotifyと同様の音楽配信プラットフォームです。フランス発で随分前からやっていますが、日本ではe-onkyo musicのサービスを継承するかたちで準備していたとのこと。
1年くらい前に“始まる”と聞いてから、もう忘れ去るかと思われたところでした。僕自身いくつものサービスローンチに関わってきたので、その苦労度合いは推測できます。“こういうとき、どうすんの?”というイレギュラーケースも膨大。対応できないとすぐに酷評されて市場から撤退なんてことになりかねない。あー大変。
聴くのに必要なのは、PCやスマホ→DAC→アンプ→スピーカー(ヘッドホン)。一般的にはQobuzアプリをPCやスマホにインストールして(Webブラウザも可)、つまり他のサービスと同様です。オーディオファンはRoonやAudirvānaといった音質に定評のあるソフトやネットワークプレーヤーのソフトを介して聴くことを期待でしょうけど、僕は未経験です。
ハイレゾ音源(24/96)を再生してみた
僕はe-onkyo music会員でいくつかダウンロード購入履歴があったので移行手続きしました。するとクラウドにあるハイレゾ音源ファイルを再生できるようになっていたので、サブスク契約する前に音質チェックを兼ねて“お試し”。
普段はApple Musicをファミリー利用しています。比較すると“粒立ち”がいい気がする。高域の拡がりは同等かもしれないけれど、スピーカーで聴くと低域は少し沈み込みが深いような。うん、なかなかいい音です。どこかの記事でも見ましたが、Appleはどんな視聴環境でもそれなりに“いい音”を感じさせてくれるのに対し、Qobuzはオーディオ環境を整えるとそれに比例して“いい音”を奏でるのではと期待させる印象です。
僕個人としてはヘッドホンで聴き比べしたときよりもスピーカーで鳴らしたときに印象の違いを感じました。もちろん楽曲によって違いはあるでしょうし、なんだ同じじゃんと思う音源もあるでしょう。AppleやAmazonのそれは、空間オーディオの楽しみもありますからやっぱりいらないかなと思う人も多いかと。
細かい話ですが、Appleの場合はDACの表示が「Audio MIDI設定」でのフォーマット固定(例えば192kHz)だったのに対し、Qobuzは楽曲ごとに表示が変わります(96kHzや88.2kHzなど)。これってAppleが「中で何やっているかわからない」状態だったのが、Qobuzはちゃんと曲毎に合わせてDACに送ってますよ的な安心感につながりました。
楽曲のメタデータ(参加ミュージシャンやプロデューサー、レーベル、アルバム解説など)も挑戦が見られてちょっと好感。音楽やオーディオに関する「マガジン」にもそういった姿勢がうかがえます。これならサブスク契約しようかなと、応援しておくかなと思うレベルでした。
ちなみに1アカウント年間契約で15,360円(月額換算1,280円)または月額1,480円です。さて、レコードやCDも持っているはずの比較的ディープな音楽好きが、サブスクを聴く時間を割けるかどうか。断捨離を決め込んだ元オーディオファンが「もうこれで充分」となるかどうか。もしくは高音質コンテンツ好きの若年層をどう取り込めるか。これからですね。