2024-11-19

リコメンド会@ginger.tokyo

 

週末は、清澄白河の音楽好きが集まるカフェginger.tokyo」にて、参加者が好きな音源を持ち寄るリコメンド会が開かれ参加してきました。オーナーさんのおかげもあって徐々に常連さんにも受け入れていただき、毎回楽しませてもらっています。

それにしてもみなさん心から、実体験から“好き”と思った音源を披露されていて、解説を話すマイクを握りしめながら楽しそう。だから推薦する曲がその人なりというか個性的。様々なジャンルや年代の曲を聴くことができて、ジンジャーならではだなぁと思いました。

僕は以前ジャズクラブをやっていたので今回はジャズを紹介。今月11月に91歳で亡くなったクインシー・ジョーンズが21歳のときに編曲したヘレン・メリルの「You'd Be So Nice To Come Home To」を。1954年(70年前)の録音でモノラルながら素晴らしいヴォーカルが聴けます。ヘレンは当時24歳にしてこの成熟ぶり。途中の宝石のようなトランペットソロを聴かせるクリフォード・ブラウンも24歳の名演です。


評価絶頂にあったクリフォードは1年半後くらいに自動車事故で25歳の若さで亡くなってしまいます。ちなみに親日家であられるヘレンはいま95歳でご存命です。

もう1曲は、そのクリフォードと一糸乱れぬテーマを演奏する、今月11月に98歳で亡くなったルー・ドナルドソンAsの名演が聴けるアート・ブレイキーの「A Night at Birdland Vol.1」から「Quicksilver」を。


ジャズクラブではオーディエンスにこんな熱い演奏を聴かせることができたらと思っていました。そして、もうひとりこの11月に99歳で亡くなったジャズドラマーの巨匠ロイ・ヘインズについては次回12月のジンジャーにて“リベンジ”したいと思っています。

2024-11-15

We See / Steve Davis

 

Steve Davis(スティーヴ・デイヴィス)はアメリカNYのトロンボーン奏者。SMOKEのクラブ25周年、SMOKE Sessions Recordsの10周年記念盤とのことで、2024年の本作は嬉しいライヴ録音になっています。エディ・ヘンダーソンTp、ラルフ・ムーアTs、リニー・ロスネスP、エシエット・エシエットB、ルイス・ナッシュDrの三管セクステット。これまた大好きなハードバップを繰り広げています。

それにしても今月はジャズ界巨匠の訃報が相次ぎ、クインシー・ジョーンズ、ルー・ドナルドソン、ロイ・ヘインズといずれも90歳代で亡くなっています。彼らが20代そこらの時代に築いた音楽がこうして今現在もニューヨークの街角で元気に演奏されていることに驚きと嬉しさを感じます。ジャズクラブがこうした熱気を失わないで続いていくことを願っています。

マイルスの1.Milestones から「イイねぇ」となります。演奏がシャキッとして爽やか、元気が出ます。拍をずらして入ってくるトランペット、ニヤリです。すかさずスティーヴのトロンボーンのソロが暖かい音色なんです。モンクの3.We See もクラブで聴いてみたい曲です。きっと楽しい。締めのマイルス7.All Blues もオリジナルに近い演奏で観客の笑顔が目に浮かぶよう。ライヴでもSMOKE高音質録音なので、部屋をジャズクラブにして秋の夜を楽しみましょう。

2024-11-12

出張とレコ屋めぐり

 

このところ遠方への出張が相次ぎました。地元の美味しい食をいただくのも楽しみでしたが、今回は中古レコード(CD)屋を見て回ることも楽しみに加えました。事前にGoogle Mapに保存しておいて、駅に着いたら近いのはどこかなと探します。レコード復活の現在、外国人のお客がおそらく数時間物色(仕入れ?)していました。来日の目的がこれなんでしょう。

広島GROOVIN'

高松ROOTS RECORDS

その昔、どこに行くにしても立ち寄るのはCDショップだった時代がありましたが、ネットで購入するようになった頃から行かなくなり、サブスクが始まって追い打ちをかけました。しかし久しぶりにこうしてショップ巡りをすると楽しさが蘇ってくるような。時間を忘れてパタパタ、引っ張り出ししていました。掘り出し物は無いかなと店内をあちこち。

僕もApple MusicやQobuzとサブスクで聴くことが多くなっていますが、買ったCDを持ち帰ってプレイヤーにかけるまでの時間が楽しいですね。中身を知っていたとしても、です。サブスクは探し当てたらクリックですぐ聴けちゃうので、そのワクワク時間がない。ジャケットを眺めたりブックレットに目を通しながら、結局アルバム1枚を聴き終えるのがレコードやCDなのに対し、サブスクではそれがない。

レコードやCDはプレイヤーに載せるたび、ちょっとしたワクワク感を短時間でも味わうことが喜びのひとつであるわけです。だからCD棚を捨てるわけにはいかない。“サブスクに全部あるんだからいいんじゃないの”に対抗する言い訳ですが。

2024-11-08

Fly / Michael Mayo

 

Michael Mayo(マイケル・マヨ)はアメリカのヴォーカリスト、作曲家。両親もプロのミュージシャンで、自身も学士号を取得したあとハービー・ハンコックに師事したこともあるそう。2021年にデビューし、2024年の本作は2作目。ハービーのツアーに参加したり、本作でも共演しているネイト・スミスDr.の複数のアルバムにも参加しているとのこと。

男性ジャズヴォーカルというよりもスティーヴィー・ワンダーのような曲作りに近いという印象を受けました。優しい歌声とスキャットでヴォーカルをあたかも楽器として演奏しているスタイルからボビー・マクファーリンの影響も感じることができます。かといって懐古なわけではなく、サウンドは若いリスナーにも響くのではという斬新なアレンジがなされています。

例えば3.I Wish のように曲調やメロディはジャズなのだけれど、全体から受ける印象は柔らかなポップ性をまとっているのが彼のスタイルなのかなと思います。ヴォーカル多重録音を聴かせる6.I Didn't Know What Time It Was は見事なハーモニーでとろけます。嬉しいのはマイルス10.Four やウェイン・ショーター11.Speak No Evil のヴォーカルアレンジでとても洒落ています。全体的にジェントルで落ち着いた印象ですが、寒くなってきた秋に心をあたためてくれそうなアルバムになっています。

2024-11-05

音楽配信「Qobuz」おためし

 

ハイレゾストリーミングサービス「Qobuz(コバズ)」が10月下旬にやっとスタートしました。Apple MusicやAmazon Music Unlimited、ハイレゾはないがSpotifyと同様の音楽配信プラットフォームです。フランス発で随分前からやっていますが、日本ではe-onkyo musicのサービスを継承するかたちで準備していたとのこと。

1年くらい前に“始まる”と聞いてから、もう忘れ去るかと思われたところでした。僕自身いくつものサービスローンチに関わってきたので、その苦労度合いは推測できます。“こういうとき、どうすんの?”というイレギュラーケースも膨大。対応できないとすぐに酷評されて市場から撤退なんてことになりかねない。あー大変。

聴くのに必要なのは、PCやスマホ→DAC→アンプ→スピーカー(ヘッドホン)。一般的にはQobuzアプリをPCやスマホにインストールして(Webブラウザも可)、つまり他のサービスと同様です。オーディオファンはRoonAudirvānaといった音質に定評のあるソフトやネットワークプレーヤーのソフトを介して聴くことを期待でしょうけど、僕は未経験です。

ハイレゾ音源(24/96)を再生してみた

僕はe-onkyo music会員でいくつかダウンロード購入履歴があったので移行手続きしました。するとクラウドにあるハイレゾ音源ファイルを再生できるようになっていたので、サブスク契約する前に音質チェックを兼ねて“お試し”。

普段はApple Musicをファミリー利用しています。比較すると“粒立ち”がいい気がする。高域の拡がりは同等かもしれないけれど、スピーカーで聴くと低域は少し沈み込みが深いような。うん、なかなかいい音です。どこかの記事でも見ましたが、Appleはどんな視聴環境でもそれなりに“いい音”を感じさせてくれるのに対し、Qobuzはオーディオ環境を整えるとそれに比例して“いい音”を奏でるのではと期待させる印象です。

僕個人としてはヘッドホンで聴き比べしたときよりもスピーカーで鳴らしたときに印象の違いを感じました。もちろん楽曲によって違いはあるでしょうし、なんだ同じじゃんと思う音源もあるでしょう。AppleやAmazonのそれは、空間オーディオの楽しみもありますからやっぱりいらないかなと思う人も多いかと。

細かい話ですが、Appleの場合はDACの表示が「Audio MIDI設定」でのフォーマット固定(例えば192kHz)だったのに対し、Qobuzは楽曲ごとに表示が変わります(96kHzや88.2kHzなど)。これってAppleが「中で何やっているかわからない」状態だったのが、Qobuzはちゃんと曲毎に合わせてDACに送ってますよ的な安心感につながりました。

楽曲のメタデータ(参加ミュージシャンやプロデューサー、レーベル、アルバム解説など)も挑戦が見られてちょっと好感。音楽やオーディオに関する「マガジン」にもそういった姿勢がうかがえます。これならサブスク契約しようかなと、応援しておくかなと思うレベルでした。

ちなみに1アカウント年間契約で15,360円(月額換算1,280円)または月額1,480円です。さて、レコードやCDも持っているはずの比較的ディープな音楽好きが、サブスクを聴く時間を割けるかどうか。断捨離を決め込んだ元オーディオファンが「もうこれで充分」となるかどうか。もしくは高音質コンテンツ好きの若年層をどう取り込めるか。これからですね。

2024-11-01

Little Big III / Aaron Parks

 

Aaron Parks(アーロン・パークス)はアメリカのジャズピアニスト。ケニー・バロンPに師事していたこともあるそう。2024年本作は41歳でありながらリーダー作として15作目。ブルーノートからリリースしています。客演経験も豊富で、僕自身何度も耳にしているピアノです。

ジョシュア・レッドマンSaxらと一緒に演った「James Farm」でも印象的なメロディセンスを聴かせてくれていました。ジャズだけでなく、フォークや民族音楽、ロック、カントリーなど様々な音楽を取り込んだインストミュージックといった印象です。個人的にはライル・メイズ&メセニーやキース・ジャレットの演奏から感じるものと通じるところがあると思います。

アーロンらしい叙情的なピアノだなと思うのは3.Heart Stories 。美しい曲だなと。4.Sports のメロディなんてちょっと懐かしいような。グレッグ・テューイGの音も印象的です。6.The Machines Say No ではJKキムのたたみかけるドラムスが聴けます。アーロンのリーダー作ではありますが、全体としてはバンドサウンドを重視しているようです。秋空に合うサウンドが詰まったアルバム。散歩のお供にしようと思います。

2024-10-29

「クイーンⅠ」(2024 Mix)聴きました

 

クイーンのデビューアルバムが「クイーンⅠ」として2024年最新リミックス&リマスターがリリースされました。メンバーが望む音と曲順を実現させたとのこと。特に以前のドラムスの音が「ボスッ、ボスッ」って感じだったので「なんでこんな音で録っちゃったんでしょうね」なんて言っていました。今回はまさにロジャー・テイラーの音。フロアタムが低音まで鳴り響きます。

僕は大学時代および社会人になっても、大学の先輩でもある“日本のロジャー・テイラー”(現QUEERのDr.=ロジャー M.T.、シンコーミュージックからロジャー・テイラーのムック本を2冊出版)と一緒にバンドを演ることがほとんどだったので、自ずとクイーンを聴く機会も多かったのです。

1曲目のKeep Yourself Alive のギターは大昔コピー(多重録音はやっていませんが)したので何度も聴きました。2.Doing All Right はスマイル時代の音源を含めて好きですし、ブライアンのギターとしては、3.Great King Rat や7.The Night Comes Down のイントロも大好きです。後期にはない陰影のあるサウンドがいいです。

そして2024年作は、さすがに聴き慣れた音と違って、ちょっとマッチョになった感がありますが、オーディオ的にはダイナミックレンジ広く気持ちよく鳴ってくれています。Apple MusicのDolby Atmosを5.1chサラウンドスピーカーで鳴らすと、コーラスやギターやディレイやエコーが部屋じゅうに拡がって、彼らの緻密で奇想天外なアレンジに再度驚くことになるかと思います。