2024-10-29

「クイーンⅠ」(2024 Mix)聴きました

 

クイーンのデビューアルバムが「クイーンⅠ」として2024年最新リミックス&リマスターがリリースされました。メンバーが望む音と曲順を実現させたとのこと。特に以前のドラムスの音が「ボスッ、ボスッ」って感じだったので「なんでこんな音で録っちゃったんでしょうね」なんて言っていました。今回はまさにロジャー・テイラーの音。フロアタムが低音まで鳴り響きます。

僕は大学時代および社会人になっても、大学の先輩でもある“日本のロジャー・テイラー”(現QUEERのDr.=ロジャー M.T.、シンコーミュージックからロジャー・テイラーのムック本を2冊出版)と一緒にバンドを演ることがほとんどだったので、自ずとクイーンを聴く機会も多かったのです。

1曲目のKeep Yourself Alive のギターは大昔コピー(多重録音はやっていませんが)したので何度も聴きました。2.Doing All Right はスマイル時代の音源を含めて好きですし、ブライアンのギターとしては、3.Great King Rat や7.The Night Comes Down のイントロも大好きです。後期にはない陰影のあるサウンドがいいです。

そして2024年作は、さすがに聴き慣れた音と違って、ちょっとマッチョになった感がありますが、オーディオ的にはダイナミックレンジ広く気持ちよく鳴ってくれています。Apple MusicのDolby Atmosを5.1chサラウンドスピーカーで鳴らすと、コーラスやギターやディレイやエコーが部屋じゅうに拡がって、彼らの緻密で奇想天外なアレンジに再度驚くことになるかと思います。

2024-10-25

Portrait / Samara Joy

 

Samara Joy(サマラ・ジョイ)はアメリカのジャズ歌手。2021年にデビューし、2022年アルバム「Linger Awhile」で一躍有名になりました。2023年にはグラミー賞で最優秀ジャズヴォーカルアルバムと最優秀新人賞を受賞。当時ジャズ関係では数多く目にしていたので、みんな聴いているからいいかなと思いブログに書きませんでした。

2024年本作は3作目。24歳とは思えない本格的なジャズ歌ものです。2019年にサラ・ヴォーン国際ジャズ・ボーカル・コンペティションで優勝とのことで、まさにサラを彷彿とさせる歌いっぷり。有名になったアルバムのあとで売れ線を狙うかと思いきや、ぐっとジャズ魂を深めてきたのが気に入っています。

多くの管楽器をバックに優雅に始まる1.You Stepped Out Of A Dream はジャズ伝統の雰囲気。2.Reincarnation Of A Lovebird の独唱を聴けば並外れた才能であることがわかります。誰もが知るボサノヴァ名曲「想いあふれて/Chega de Saudade」の6.No More Blues を彼女がどう歌うかお試しあれ。高低強弱を駆使して、スキャットも入れて細やかな感情の起伏をヴォーカルで表現。聴いているうちに、気持ちが優しくほぐされていくようです。

2024-10-22

「危機」のBlu-ray Audio盤

 

プログレの名盤、イエス「Close to the Edge(危機)」のBlu-ray Audio盤を聴きました。

・2013 Stereo Mix(24bit/96kHz)
・2013 5.1 PCM(24bit/96kHz)
・2013 5.1 DTS-HD(24bit/48kHz)
・Original Stereo Mix (マスターのFlat Transfer、24bit/192kHz) 
・UKオリジナル・アナログ音源Transfer(24bit/96kHz )ほかにもいろいろ...

紙ジャケ、ちょっと作りが雑な輸入盤

あるロックバーで聴いたアナログ盤「こわれもの」の音が衝撃的で、腹の底からグイグイくるベース音とか空間に飛び散るギター&キーボードが記憶に残っていて、それに近いものを求めているところがあります。「危機」はそれほど鮮烈な音ではなかったこともあり、聴く回数は少なかったかも。

さてBlu-ray Audioはいかに。期待したのは“Original Stereo Mix(24bit/192kHz) ”です。192ですからもしや...と思ったのですが、「こわれもの」体験ほどではありませんでした。まぁ違うアルバムですから。でも各楽器の音がくっきりした印象です。

ではスティーヴン・ウィルソン2013ミックス&サラウンドに期待。というのはほかのアルバムでDVD-Audioの“音の太さ”を体験していたので、Blu-ray Audioもいいんじゃないかと。元の音源にもよるのかもしれないですが、DVD-Audioほどではないにせよ、サブウーファーのおかげもありぐっと重心が下がります。サラウンドの音の拡がりはスゴい。パイプオルガンが部屋じゅうに鳴り響き、「これぞ危機!プログレ!」となりました。

さすが容量の多いBlu-ray。ハイレゾ満載かつ特典音源も多くて楽しい。んー、でもアナログ盤の“太い”というのとは違うんですけどね。

2024-10-18

Better Angels / Peter Bernstein

 

ニューヨークのPeter Bernstein(ピーター・バーンスタイン)Gの2024年リーダー作。得意のSMOKE Sessionsから。ブラッド・メルドーP、ヴィセンテ・アーチャーB、アル・フォスターDrを従えてのオールスター・ギターカルテット。メンバーからして間違いないです。

僕はこの人の粒立ちのよいギター・トーンが好きなんです。グラント・グリーン、ケニー・バレル、ジム・ホールといったバップ&ブルージーな名手たちの系譜といいますか。1音1音しっかりと聴かせてフレーズを楽しませてくれるサウンドです。メロディやソロを単音フレーズを弾いて〜和音でつないでっていうのは出来そうで出来ない、ジャズギタリストならではのテクニックです。憧れます。

軽快な2.Ditty for Dewey はスイング感を保ちながら、一筋縄ではいかない和音感を楽しめる曲。やっぱりメルドーの独特ピアノから触発されているかな。タイトル曲5.Better Angels もシンプルなメロディなのに何か独特でバップ的です。ピーターのソロ8.Lament ではギターのサウンドを存分に味わえます。新譜でこういうジャズギターを聴くことが少なくなった今、貴重な存在なのではないかと。ほかのジャズスタンダード曲も洒落た素敵な演奏です。

2024-10-15

ヘッドホンを首にかけて

 

誕生日プレゼントの前倒しということで、娘にヘッドホンを買いました。ソニーのWH-CH720N。ソニー史上最軽量のワイヤレスノイキャンヘッドホンのことで、15,000円しないくらいでした。ネットで見てJBLとかオーディオテクニカとか候補にあったのですが、娘いわく「お店に見に行きたい」とのことで実際に手に取ってかけてみて、この機種に決めました。

いまのヘッドホン売り場って、音楽聴かないんですね。聴くことができる機種もあるんですが、この価格帯のものはヘッドホンをかけても音楽は鳴っていない or 鳴らし方がわからないようでした。音質は比較しなくていいのか...。

必要なのは「鏡」です。かけた感じがどう見えるか。“ちょっと横に出っ張っている”“洋服や帽子に合わせやすい、にくい”“首にかけたときどうか”あたりがポイントです。加えてかけ心地。長い時間かけていて疲れないかとか。

学校や塾の自習時間にヘッドホンをしている人は結構いるとのこと。電車に乗っていてもイヤホンではなくてヘッドホンをしている若者が多くなった気がします。娘は電車時はノイキャンの効きがいいのでイヤホンだそうです。それ以外は耳の中がムレないヘッドホンかなと。集中したいときは音楽もなにも流していないらしい。

密閉型だオープン型だ、やっぱり有線でヘッドフォンアンプにっていうのとは別の話ですね。まぁそんなんでも音楽を聴く機会が増えてくれればいいかな。ただでさえスマホの他のコンテンツに奪われがちなスキマ時間ですから。

2024-10-11

three of us are from Houston and Reuben is not / Walter Smith III

 

Walter Smith III(ウォルター・スミス3世)は、アメリカのサックス奏者。昨年の「return to casual」に続いて2024年本作はブルーノート2作目。同じくヒューストン出身のジェイソン・モランPとエリック・ハーランドDrの3人とヴァージン諸島出身のリューベン・ロジャースBという、そのまんまのタイトルを付けています。1曲を除いて彼のオリジナル曲だそう。

これぞ最先端のジャズというか、譜面とかどうなってんのという演奏です。かといってフリーでもない。「あーハイハイ...」とか言いながら演奏できるんでしょうから、バンドメンバーのジャズ脳は計り知れないなと思います。しかも難しい演奏であるにもかかわらず、曲全体を聴くとそれを感じさせないという、まさにプロがなせる技です。

1.seesaw をなぞるように聴いてみると、曲全体はうねるように強弱を付けつつ進行しているように思います。3.24 なんて各楽器で軽く会話しているようです。フレーズにフレーズで応える感じ。ジャズって自由だなーと。そのうえ4.Misanthrope's Hymn のような少しメランコリックな曲を流れるような演奏で聴かせてくれます。まぁ難しい顔せずに曲全体に浸ってみるのがいいのかなと思います。僕の好きなエリック・ハーランドのドラムスも相変わらずカッコいいです。

2024-10-08

デヴィッド・ギルモアのギター

 

先月“ジンジャー”にてnote仲間の方々と集まったときに、好きなギタリストにデヴィッド・ギルモアが挙がりました。その際オーナーがかけていた映像がカッコよくて見入ってしまいました。

実は最近やっとデヴィッド・ギルモアのギターの良さがわかるようになったんです。ギターキッズとしては音数は少ないし演奏は長いしテクニカルに感じなかったわけです。中学生の頃通っていた寺子屋のような塾に、なぜか見目麗しいオーディオが置いてあり、そこでピンク・フロイドを聴けといくつか聴いたのですが、なんともピンとこない。その印象が続いてしまいました。

黒いストラトキャスターに白いピックアップ、メイプルネック。ストラト弾きの僕としてじっくり耳を傾けるとこれがなんともシングルコイルらしい素晴らしい音。深めのディレイ&エコーもあって音色とフレーズが沁みるように伝わってきます。そうしてピンク・フロイドもギルモア中心な後期を聴くと、演奏も音質も痺れるほどいいです。

聴いていて、自分の中で鳴っている音がありました。ポール・マッカートニーの「No More Lonely Nights」のギターソロです。何度も聴いたこの印象的なギター。そうかギルモアだったか。

会話がきっかけとなり“知っていたけれどあまり聴かなかった”ミュージシャンを再発見できるのは音楽好きにとって楽しいことのひとつです。